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前田エクストラ・ブリュット
シャンパーニュを取り巻く話題をちょっと? かなり? 辛口で切り取ります
前田行紀
シュワリスタ・ラウンジではシャンパーニュ・アーカイヴのデータ作成を担当。豊富な知識と旺盛な探究心で、「シャンパーニュの求道者」の異名を持つディープ・シュワリスタ。このコラムでは泡業界を愛と俯瞰、両面で斬っていく。
Vol.7
世界の泡
07.6.1 up
日本列島もそろそろ梅雨の時期に突入ですね。こんなじめじめした気分は爽やかなブラン・ド・ブランでもいただいて吹き飛ばしたいものです。さて、今回は世界の泡の魅力について触れていきます。

シャンパーニュと名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方で作られたもので、かつシャンパーニュ製法に則って作られている、特定のブドウ品種で作られているもののみがシャンパーニュと名乗れることは、シュワリスタの皆さんはご存知かと思います。つまり「アメリカのシャンパーニュ!」や「日本のシャンパン」などは存在しないわけですね。では、こうした他国の発泡性ワインや、フランスでもその他の地域の発泡ワインは、なんと呼べばよいのでしょうか?

まず、フランスの発泡性ワインは総称して『ヴァン・ムスー』と呼ばれています。その中でも特に指定された7つの地区で作られた発泡性ワインは『クレマン』と呼ばれます。その最も特別なものがシャンパーニュ地方で作られるシャンパーニュです。その他の国はというと、スペインで作られた発泡性ワインは『カヴァ』と呼ばれ、イタリアの物は『スプマンテ』、ドイツで作られているのは『ゼクト』です。

このように、世界各国には沢山の発泡ワインが存在します。それぞれに特徴があるので、TPOによって使い分けてみるのはいかがでしょう。まず、それぞれの特徴を簡単にまとめてみましょう。

■カヴァ
マカベオ、チャレッロ、パレリャーダの3種のぶどうで作られ、シャンパーニュほど熟成期間が長くないもののシャンパーニュ同様の方法で作られます。温暖な気温の中で作られるブドウは糖度が高く、あまり補糖しなくてもバランスを保つことができます。

■スプマンテ
プロセッコ、アスティ、フランチャコルタなどが有名。主にシャルマ法(*)で作られているため、フレッシュな風味が持ち味。フランチャコルタはシャンパーニュ同様瓶内2次発酵させて作られています。

■ゼクト
ドイツの発泡ワインはシャルム・ヴァインと呼ばれますが、特にシャンパーニュ同様の製法で作られたものをゼクトと呼びます。歴史が比較的浅く、他国に比べて規制がゆるいため、どうしても見劣りしてしまいますが、ブドウの種類が豊富で多彩な味わいを楽しめます。最近では長期熟成のゼクトなども作られています。

このほかにアメリカやオーストラリアでもスパークリング・ワインは作られています。最近では大手シャンパーニュ・メゾンがアメリカやオーストラリアにおいてシャンパンーニュ製法でスパークリング・ワインを作っています。
このように、特徴が分れば色々な組み合わせが考えられますね。これからの季節、気軽に屋外で飲みたいときなど廉価でフレッシュなスプマンテを。食事を通してあわせるならその中でもフランチャコルタなどが良いですね。糖分の少ないシャープな辛口が多いカヴァなどは魚介類を多く口にする私達日本人の食生活にもマッチします。ドイツのゼクトなどはその多彩なブドウ品種から、いつもとちょっと違った味わいがほしい時にチョイスしてみるのも面白いでしょう。

シャンパーニュはもちろん素晴らしい飲み物ですが、せっかく沢山の発泡ワインがあるのですから、シャンパーニュをより楽しむ意味でも、他国の発泡ワインを試してみてください。また新たな発見があることでしょう。

それでは皆さん今宵も良い泡を。
SH

*シャルマ法: シャンパーニュで用いられる「瓶内2次発酵」ではなく、タンク内で2次発酵を行う手法。

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