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sH レポート
業界向けの試飲会やイヴェントの模様、インポーターやメゾンの話題などを、シュワリスタ視点でレポートします
Vol.2
06.9.20 up

ボランジェ・ワークショップ

text: 岩瀬大二 photo: 編集部 藤原
取材協力: ジャパン・フード&リカー・アライアンス酒類販売(株)アルカン事業部

6月5日(火)、ボランジェ社の日本代理店であるジャパン・フード&リカー・アライアンス酒類販売(株)本社にて、『ボランジェ・ワークショップ』(テイスティング・セミナー)が開催されました。

今回は、新エリアマネージャーである、ヴィアネイ・ファーブル氏を向かえ、ドラマティックな歴史をはじめ、醸造の秘密などより深いボランジェの世界やマーケティング / セールス戦略などのレクチャー。

その後のテイスティングでは、ボランジェの定番である『スペシャル・キュヴェ / Special Cuvee』と『ラ・グランダネ 1999 / LA GRANDE ANNEE 1999』を。ボランジェの品質向上へのコミットメントと、「ボランジェらしさ」の追求がよくわかる2本でした。

以下、テイスティング・ノートです。

Tasting Note

スペシャル・キュヴェ

ピノ・ノワール60%、シャルドネ25%、ピノ・ムニエ15%。軽やかな中にもピノ・ノワールの深みと力強さが素直に出ています。飲み口はややクリーミィで後味はスパッと切れるわけではなく持続してくれます。ナッツ、熟した西洋なしのアロマの中に爽やかなジンジャーも少々。マグナムボトルでの保管と、最低3年という長い熟成(シャンパーニュの一般的な規定は15ヶ月)を行うことによる、なんともいえない安定感があります。しっかり冷やしながらも、ちょっと重めの前菜や、チキンなどとあわせるのが楽しそうです。男性的とも称されるボランジェ。その世界のエントリーに。

ラ・グランダネ 1999

「ジェームズ・ボンドのシャンパーニュ」としても有名なラ・グランダネ。99年のアッサンブラージュはピノ・ノワール63%、シャルドネ37%。以前97年をいただいたときには、ブリオッシュ、フレッシュバター、ミネラル、ローストアーモンドなどさすがに男性的なボランジェ!という印象でしたが、この99に関しては一転フェミニンな印象。アロマ、ストラクチャー、酸のバランスがとても良く、難解な複雑味ではなく、素直に溶け合う複雑さ。アロマは白い花やグーズヴェリーがふわっと。その中にオリエンタルなスパイス。ドサージュは7〜9g/lと低めで、果実、ブーケがくっきりと感じられます。とてもきれいなフレンチのお皿にあわせると、テーブルが華やかになりそうなシャンパーニュです。

sH エクスクルーシヴ インタビュー

「ポジショニングでは、
ラ・グランダネの競合はドン・ペリニヨンです。」

シャトー・ラフィットのテクニカル・ディレクターを父に持つファーブル氏。ボルドーの地で醸造学を、ニューヨークでビジネスを学んだ若きマネージャーにお話を伺いました。

まず、今日のテイスティングの印象から。ラ・グランダネ99がフェミニンな印象で驚きました。ジェームズ・ボンド愛飲ということもありボランジェ=男性的という印象を持っていましたので。

ファーブル氏:
(以下FA)
確かにボランジェでは珍しいですね。実は97などとはドサージュ含めて同じなんです。これが自然のヴィンテージの力であり、変化の面白さですね。ただ、現状はピノ・ノワールがまだ開ききっていないための印象で、数年後にはまた印象が変わるかもしれません。現時点では、ボランジェもこういうタイプのエレガントなシャンパーニュを造れるということで(笑)。これも楽しんでいただきたいですね。

ボランジェ・シャンパーニュのほかのメゾンにはない特徴を簡単に教えてください。

FA: まず、ボランジェはワインの生産過程、つまり醸造・熟成を自社で全て行います。これはメゾンの中でも数少ない取り組みです。それから、発酵をオーク樽で行っているのも数少ないですね(ラ・グランダネは全て、スペシャル・キュヴェは一部タンク発酵)。しかし、新樽は好ましくないタンニンが入りますので、古樽を、職人がフルタイムでメンテナンスしながら使っています。手間をとてもかけているんです。

マグナムボトルで保管するのもユニークですね。

FA: はい。リザーヴワインをマグナムボトルで軽く2次発酵させて熟成させますが、これもシャンパーニュでは珍しい方法です。後は熟成期間。個性や複雑性を出すために、スペシャル・キュヴェのミニマム・エイジングは3年、グランダネで5年をかけます。

ユニークで骨太なボランジェのシャンパーニュ造り。しかし、東京でボランジェは、知名度としては愛好家の間に留まっています。これはボランジェなど男性的なシャンパーニュをもっと広めていきたい私としては個人的にちょっと残念で…。

FA: ありがとうございます(微笑)。今回のグランダネ99年のようなエレガントなものは、また、ボランジェの違ったものとして面白く受け入れていただけると思いますし、今お好きといわれた、ボランジェの男性的な味わいもみなさんに楽しんでいただきたいですね。ピノ・ノワールがボランジェのアッサンブラージュのベースですから、その面白さも。ポジショニングでは、ラ・グランダネの競合はドン・ペリニヨンです。味わいは全く違いますが、東京でこのポジションで肩を並べていきたいと考えています。

ボランジェの歴史やその他のラインアップについてはこちら

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