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スリー・シャンパーニュ・スターズ 01
06.11.08 up
シャンパーニュは グラスでここまで変わる
*001 宮崎賢 @恵比寿の達人
Champagne Cafe『アルベンテ』オーナー。渋く落ち着ける大人の雰囲気のお店ながら、女性客も1人でふらりと立ち寄れる気軽さ。これってもしかしたら宮崎氏のキャラクターそのもの??
シャンパーニュと言えば、スっと背の高いフルート型グラスで。大体どこのレストランに行ってもこれが定番。もちろん間違ってはいないけれど、ただオートマティックに「そういうものだから」では面白くない。そう、実はグラスの形を変えるだけでシャンパーニュも変わるのだ。グラスとシャンパーニュの素敵な関係。今回は恵比寿の達人・宮崎氏にレクチャーいただく。
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力強さと繊細さ 本来の姿を引き出すためのグラスの力
カウンターにずらりとならんだグラス。壮観。これらはただデザインが違う、というのではなくそれぞれにシャンパーニュを楽しむための意味があると宮崎氏は言います。「まず、様々なタイプのシャンパーニュとの相性ですね。一口にシャンパーニュといっても、繊細なものから男性的なパンチのあるものまで実に幅広い個性を持っていますから、それを引き出すためにグラスはとても大切なものなのです」ワインも、ボルドータイプ、ブルゴーニュタイプ、アルザスタイプ…多種多彩なグラスがあるのはそれぞれの風味に適したグラスを必要とするから。シャンパーニュも同じです。
いくつかの例を宮崎氏に解説いただきましょう。まずは最初のグラス(左)について、「これは、底がふくよかで口がすぼまっていますがブラン・ド・ブランのとても繊細な香りのするものが適しています。昼間に軽やかなシャンパーニュを楽しむときなどにいいですね」とコメント。一方、こちらのグラス(下)は、「鋭く直線的な印象。今回の中では最も力強い、黒葡萄(ピノ・ノワール)主体ものがあうタイプ。銘柄で言えばガティノワとか。男性的なものをおススメします」と宮崎氏は言います。
口がすぼまっているため、繊細な香りを逃がさない。ブラン・ド・ブランのような軽やかなシャンパーニュにはぜひ。
なるほど、実際にこれでシャンパーニュをいただいてみると一目瞭然。形状によって、香りが鼻までに届く感覚が随分います。ワインではグラスと香り・味の関係を意識するという人でも、シャンパーニュでは好みのデザインかどうか程度しか考えないという方も多いもの(もちろん普通のお店でそんなにシャンパーニュグラスの種類は用意していませんが…)。でも実にもったいないのです。
直線的で男性的なグラス。銘柄で言うとガティノワのような黒葡萄(ピノ・ノワール)主体ものが合いそうだ。
シャンパーニュ選びのポイントもいろいろ 「気分」や「雰囲気」だっていい!
とはいうものの、形状の違いを全部頭に叩き込む必要もあまりないでしょう。それを「知っている」ということが大切で、後はお店のグラスの品揃えにあわせて、お店におまかせしてしまってもいい。シャンパーニュを気軽に楽しむ上ではむしろ、自分の気分や、その場の雰囲気で選ぶのが賢い選択。薀蓄は隠して愉快に。これもシャンパーニュの楽しみ方。例えば「定番」として風味にあわせるという意味では面白みにかけるかもしれないフルートタイプ(右)も、最初の乾杯などの場面ではやはり適役。シャンパーニュの快感のひとつである、泡が美しく立ち上っている様子はやはり格別のもの。
重厚で高級感あふれるバカラタイプのグラス。味や香りよりも雰囲気を楽しみながら味わいたい。
またバカラの重厚な佇まい(左)は味や香りよりもむしろ気分を高揚させてくれる効果。「実際のところ、グラスの飲み口のところは薄いほうがいい。厚いとどうしても味が雑になるんです。うちではシャンパン・ソルベなどに使うことが多い。ただ、バカラでプレステージなものをいただくと…単純に雰囲気いいですよね(笑)」(宮崎氏)最後に達人からシュワリスタへ一言。「そこそこのシャンパーニュでも、グラス次第で1ランク上がります。香りや風味、気分、そして雰囲気まで。グラスを上手くセレクトしてシャンパーニュとの幸せな時間を過ごしてください」
SH
シャンパーニュグラスの定番フルートタイプ。美しく立ち上る泡は見ていて飽きない。
現在でこそフルート型が定番化しているけれど、昔の映画などを見ると、パーティーでシャンパーニュを飲んでいる役者の手に握られているのは、底が浅くて幅が広いクープ型。そう、以前はパーティーや結婚式などの華やかな場の主役はこちら。現在、クープ型が華やかな場面で登場するのはシャンパンタワーぐらいかも…。
美しく泡が立ち上る。フルートグラスでそんなシャンパーニュの時間を楽しむのは素敵ですが、たまにはクープ型でクラシックテイストのパーティーを正装WITHクープ型で楽しむなんてのも粋かもしれませんね。
グラスにも 流行アリ
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