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Art & Champagne
08.3.24 up
美と美の競演 アート×シャンパーニュ 究極のコラボレーションがここに、ある

見過ごしてないだろうか。ボトル、ミュズレ、コルク、木箱…。その全てに造り手の想い、美への欲求、魂の表現がある。そしてそれは、いつしかアートへと昇華する。アートが持つ永遠の記憶と、シャンパーニュの一瞬の華やぎ。その相反する、しかしあまりにも似た両者の輝きは、究極のコラボレーションなのかもしれない。今回は、素晴らしい「美と美の競演」に注目する。

text: 岩瀬大二・藤原光昭 写真: 片山よしお  取材撮影協力: 日本リカー(株) / (株)イニシアル / ギャラリー・バー 未来画廊

01 芸術という名の逸品 Art Champagne Selection 02 アートに捧げる情熱 TATTINGER Collection Bottle
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01 芸術という名の逸品 Art Champagne Selection アート・シャンパーニュ セレクション

闇から光を見出した奇跡。 『一度限りのボランジェ』

BOLLINGER 2003 by Bollinger ボランジェ 2003

selected by 藤田礼子

幸福な瞬間の象徴であるシャンパーニュにおよそ似つかわしくないモノクロームの世界。私はそこに「シャンパーニュの雄」と呼ばれるボランジェの真の力強さと先進性を感じてやまない。

2003年、年明けから押し寄せた大寒波や干ばつはシャンパーニュ地方に多大なダメージを与えたが、僅かに収穫できた葡萄は驚くほど質の高い果実に育っていたという。闇から光を見出した奇跡。「一度限りのボランジェ」を覆うストイックなパッケージは、私たちに静かに語りかける。決して諦めないこと、そして、希望を持ち続けることの大切さを。

藤田礼子 TCSを代表するアート・エヴァンジェリスト。「シャンパーニュとは、人生の爛熟とカタストロフィを象徴する飲み物」が持論の快楽主義系シュワリスタ。「センス・オブ・シャンパーニュ」の編集、執筆を担当。

100年の時を超えても、 損なわれることのない斬新さ。

PERRIER JOUET  Belle Epoque ペリエ・ジュエ ベル・エポック

selected by 前田行紀

皆様になじみが深い、元祖アート・ボトルといえばこれでしょう! 1900年初頭ペリエ・ジュエの3代目アンリ・ガリスがアールヌーヴォーを代表するガラス工芸家エミール・ガレにデザインを依頼したアート・ボトル。

現在のベル・エポックは1969年から販売されているものの、デザインされてから100年の時を超えてもその斬新さは損なわれることがありません。

味わいもその華やかな外観にひけを取らないエレガントさと繊細さを兼ね備えています。

前田行紀 シュワリスタ・ラウンジではシャンパーニュ・アーカイヴのデータ作成と知識系コラムを担当。豊富な知識と旺盛な探究心で、「シャンパーニュの求道者」の異名を持つディープ・シュワリスタ。

『パイパー・エドシック』、 女はこう言った。

PIPER-HEIDSIECK dressed by Jean-Paul Gaultier パイパー・エドシック(ジャン=ポール・ゴルチエ仕様)

selected by 中川直樹

ある月曜日の昼下がり、シガリロを持って、会社近くの目黒川沿いを散歩する事にした。フラフラと歩いていると、裏道に一軒のワインショップがあった。奥に目をやると、髪を後で縛りあげた、性格はキツそうだが、自分好みのいい女が1人立っていた。スノッブでお高そうだが、表情はどこか知的。背筋がピンと伸び、スレンダー。腰の窪みからお尻に至るラインは、とてもエロティックで、女性ならではのカーブを描いてる。そのカーブを赤くてテカっとしたPVC素材(※)が肌に吸い付くように覆い、エロく光っていた…

思わず、両手を差し伸べて、その素材の上から撫でてみたくなった。腰からお尻にさしかかったところで、爪を立てて、ギュっとおもいっきりつかんだ。とても気持ちよさそうだ。気がつくと、僕は女の目の前に立ちはだかり、手をつかんで、その店から連れだしていた。女は何も言わなかった。

目黒川沿いのカフェへその女と入った。エスプレッソに砂糖を2ついれて下に砂糖がこどむように、軽くかき混ぜた。そしてシガリロに火をつけたところで、女に聞いた。「名前は?」「パイパー・エドシック」女はこう言った。僕は、背中のドレスの編み上げの黒い紐を更にギュっと締め上げたのだった。

※ PVC素材 : エナメル素材。正確にはポリ塩化ビニール素材の事。

中川直樹

Art & Web ディレクター / TCS(トーキョー・シャンパーニュ・スタイル)発起人。シャンパンとシガーと古いアルファロメオを愛してやまない、わがまま系シュワリスタ。

NaWoyuki's Muselet Memo ナヲユキ's 王冠Memo

出張Memo〈アート編〉 ミュズレ 初の出張篇

ロゴそのものを使う王道から、Vintageをでかでかと記載する方法や、
生産者の顔を載せる思い入れたっぷりのミュズレもチラホラと。
そんなミュズレを『アート』視点で選んでみました!

JACQUESSON ジャクソン

実はミュズレを発明したのは、このジャクソン家のアドルフさん。開発者の心意気かどうかわかりませんが、ミュズレの両面に、デザインが施されているのです! ほとんどの人が見ない裏面までこだわる視点は『アート』していると感じます。

ミュズレのデザインは、2007年リリース分から変更されたようでミュズラー(ミュズレコレクターの事)的には残念です。

POMMERY POP ポメリー ボップ

油絵や水彩画が『アート』の基本なら、モダンアートは、表現する内容・方法「何でもあり」が基本では? フォントをデザインとして取り入れて、ボトル、エチケット、ミュズレまで一貫してキッチュでPOPに仕上げたこの作品。『アート』と言わずに、なんと言う!

DE VENOGE Louis XV ド・ヴノージュ ルイ15世

ほとんどの人は目にしたことはないのではないか? DE VENOGEの LOUIS XV(ルイ15世)のミュズレは、レリーフ調に、きっちり浮き出しているのです! まさに『アート』の基本です!

ミュズレが、ちょい凹んでいるのは、ご愛嬌(笑)

HENRI Abele 1986 アンリ アベレ 1986

テタンジェ・コレクションとまでは行かないが、『アート』へのこだわりはたいしたもの。「L'Espoir(希望)」と題された作品はPedro Bonet Pastorさんの作品。エチケットだけじゃなく、ミュズレにも気を使う辺りは、さすがAbele! ミュズラー泣かせです(笑)。

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