Home > 特集 > 「シュワリスタ・アワード2012 2012年のシーンを飾った珠玉のシャンパーニュたち」

200年の歴史。その誇りと重さを 美しさと気品の中に溶け込ませて…

ローラン・ペリエのテイストをわかりやすい言葉で表現すれば、「フレッシュ」「エレガント」そして「バランス」ということになるのでしょう。世界中で、昼と夜でも、雨の日も晴れの日も、そのテイストはきっと変わりません。それこそが名門メゾンのノン・ヴィンテージの誇り。しかし、守り抜くことは容易ではありません。200年の歴史の中でそれは時に重圧になり、また時代と共に変わっていく勇気も要求されます。シャンパーニュの傑出した人物だった先代である父。自身のキャリアにピリオドを打ち、名門を引き継ぐ決断をした現当主アレクサンドラさんにとって、メゾンの歴史も、父の存在も重圧だったのでしょうか。そうだったかもしれません。でも、シャルドネの追及、リザーヴ・ワインへのこだわり、そして、1973年、父がたどり着いたステンレスタンクという決断。2012年、アレクサンドラさん自身にも重なる、その美しさと気品を、世界中で、静かな昼と喧噪の夜で味わえる幸せ。雨の日には優しさを、晴れの日には笑顔を。それもシャンパーニュの力、という実感がここに。

アネモネの華が紡ぐストーリー 「母国」日本から、再び物語が動き出します

エミール・ガレのアネモネの花は、シャンパーニュの華。ベル・エポックは、その世界観を守り続けてきました。その歴史の中で初めての挑戦となった限定デザインボトル。クリエイションを担う重責は、日本人フラワー・アーティスト、東 信さんに委ねられました。「ガレの描いたジャパニーズ・ホワイト・アネモネの美しさや身体性を生かしつつも、その美しき世界観を現代においてどう解釈するかという点はとても挑戦的な作業でした」と語る東さん。そう、ガレの描いたアネモネは、遠き国・日本のアネモネ。長い、長い時間の後、ここ日本でアネモネに新しい命が吹き込まれたのは必然だったのです。衝撃の飲み味、造り手の魂と同様、こうした素敵なストーリーも、シュワリスタ・アワードの対象です。


「ジャパニーズ・ホワイト・アネモネの周りの葉はどれも日本古来の種類のものです。ガレが日本のジャパニーズ・ホワイト・アネモネを描いたように、私も日本の花や葉を使い、ガレへのオマージュとなる作品にしたいと思いました。使用した花や葉はどれも繊細で軽やか、かつ空気感を帯びた素材で、ホワイト・アネモネの存在を際立たせるような植物を選びました。口の中に入れたシャンパンが弾け、香り、そこから解き放つ軽やかな感覚を、ジャパニーズ・ホワイト・アネモネの身体性やその周りの葉の繊細さ、ゆるやかなフォルム、動きのあるツタで表現しました」。

自然の恵みとしてのグレート・ヴィンテージ 挑戦者としてのグレート・ヴィンテージ

冒頭でも触れたように、第2回シュワリスタ・アワードの象徴は、『2002という恵まれた年』でした。グレート・ヴィンテージと呼ぶにふさわしいシャンパーニュが続々登場。自然の恵みという宝物を強く感じる表彰となりました。一方、2003年という年は、試練の年と言えます。数々のメゾンがヴィンテージとしてのリリースを断念したり、王道的なものではない冒険に挑んだりもしました。しかし、我々は勘違いをしていたのかもしれません。挑戦できるという喜び、収穫量や品質を見つめること、それらは造り手としては喜びなのではないかと。クリエイトするという崇高で美しいディストラクション、という武者震い。最高醸造責任者リシャール・ジェフロアの回答は、驚くほど美麗で、透き通った03。波乱の自然はグラスの中にはありません。微風にそよぐ静寂の湖面、ともいうべき、力感やアヴァンギャルドさではなく、沁み渡る喜び。世界最高峰のeasy to drink、03でも。

「NV」「白白」を単なる記号、お約束にしない 鬼才入魂、常識をひっくり返す静かなる一撃

当主エリック・ド・スーザは、哲学者か、職人か、それとも…。 コート・デ・ブラン、アヴィーズの特級畑。その恵まれた環境に、満足しない。栽培、醸造、そして熟成。あらゆるフェーズに対する、入魂、追求。ビオに始まり、熟成中に一度瓶を揺らして澱とまぜ、旨みを引き出すポワニエタージュといった手法から、クオーツ、音楽までをも取り込む貪欲。実際にどこまで効果があるのかは私たちにとっては分からないこともありますが、科学と神秘と自然、そのすべてを取り込んで生まれるシャンパーニュたち。その中でも衝撃的だったのがこちら。まさにシャンパーニュの土の匂い、風の香り。ブラン・ド・ブラン=繊細というお約束が吹っ飛ぶ強烈な滋味。95年から2005年のリザーヴ・ワインを継ぎ足して紡いだ深み、複雑さ、熟成感。しかし、余韻はどこまでもアヴィーズの青い空の様な爽快感。一瞬、自分のシャンパーニュに対する常識を覆される恐怖感を覚えるほど。しかし、飲み終わりに訪れるのは、やはり幸せな時間。


華やかさと奥深さと楽しさをもたらす マグナムという選択が始まった

マグナムボトルがもたらす熟成の安定感。実は、メゾンやオートクチュールの造り手との話の中で、マグナムで熟成させたい、という声を良く聞きます。マグナムというとどちらかといえばF1のポディウムでのセレブレーションやパーティシーンなどで見るように、演出、としての意味合いが強く出ていた感もありますが、実際には味という点でも見逃せないのです。 今回の選考でも宮崎氏がアルフレッド・グラシアン、メンバーの長澤もドラピエのマグナムを、また選考会でもドゥーツを始め様々なメゾンのマグナムの名が上がりました。こうしたマグナムの「目覚め」はすでに関西のシャンパーニュ・シーンではいち早く起こっているとのこと。今回は、そのシーンにも敬意を表し、関西シャンパーニュムーヴメントを引っ張る一人である山本氏がセレクトした「関西を熱くしたマグナム」を、「マグナムという喜び」を代表してアワードに選出しました。2013年、ますますマグナムが身近で、私たちを幸せにしてくれるでしょう。

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