シャンパーニュを楽しむWEBマガジン [シュワリスタ・ラウンジ]

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REPORT

『ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブラン』。
美しき野心と冒険。

多くの大手メゾンのシェフ・ド・カーヴと話す機会をいただいている。キャラクターもそれぞれだ。過剰で尊大というイメージを恐れずに、むしろ利用しながら業界に大きな波紋や影響をもたらし、常にブランドに注目を集める役割を担う「スター」。陽気な振舞、人懐っこい笑顔で世界中を飛び回る「外交官」。ストイックで寡黙なオーラに包まれる孤高の「科学者」と「芸術家」。土とともに木とともに風と共にありたい「隠者」。

ペリエ ジュエのシェフ・ド・カーヴ、エルヴェ・デシャンは、「氏」とも「さん」とも呼べる親しみと微笑みの紳士であり、風流な詩人でもある。難解な言葉は使わない。相手に合わせてその話題はワイン造りの深淵から楽しみ方まで自然に変わっていく。シャンパーニュに対しても、ブランドに対しても、出会う人たちに対しても、世界中で自分の作品に出合う人たちに対しても真摯な紳士であることを、毎回のインタビューから、パーティの時間から感じている。

しかし、だからといって、微笑みだけの人ではない。ブランドを守り、育てる使命に燃え、新作に対する野心を常に持ち続けている。そのひとつの象徴ともいえるのが今回登場した、ノン・ヴィンテージのブラン・ド・ブランだ。93年に現職についたときからこのアイデアは温めていたという。それから14年。プレスティージュアイテムである『ベル エポック』でブラン・ド・ブランを数度手がけた自信と経験が、今回の挑戦に踏み切る要因になったのだろう。ペリエ ジュエとしても新たな定番ラインを加えることは、ブランドとしても冒険だったとは思うが、だからこそエルヴェさんも燃えるものがあったのではないか。

エルヴェさん
「このキュヴェは、ペリエ ジュエファミリーの精神が流れています。それは歴史であり哲学であり、生産者との関係でもあります。まず、このキュヴェを造るにあたって、信頼感をおける新しい生産者を探せるかどうか、という課題がありました。シャルドネはペリエ・ジュエの基本。今回はコート・デ・ブランのシャルドネだけではなく、新しいエリアのものも使い、同じ畑でも向きを変えたものなども試しています」

鮮やかでエレガント、そこに可憐ながら大人の白いフローラルな、ペリエ ジュエらしいアロマとテイスト。その特徴はそのままに、どこか、梅やオレンジアカシアといったエキゾチックな要素、ピーチの甘いかわいらしさ、ハーバルな爽快感、グレープフルーツの皮を朝のジャムにしたような苦甘さなど、いつものペリエ ジュエからはあまり感じなかった要素がすぐに感じられる。飲んでみると、その飲み口から余韻まで、波の静かなうねりのように、こうした要素がゆるやかに、絶え間なく続いていく感覚。わずかに海のミネラルや塩味を感じたこともあるが、それにしても複雑な要素がひとつにまとまりつつも顔をのぞかせたり奥に帰って行ったりと、まさに静かなうねりを感じるのだ。それでもなお、最後には鮮やか、エレガント、可憐。複雑さの要素は、新しい収穫地、生産者との関係といった冒険だけではない。

エルヴェさん
「今回のキュヴェは2013年をベースに、2010年、2012年のリザーヴワインを15%使用しています。ベル エポックにおけるヴィンテージのブラン・ド・ブランに取り組むこともとてもやりがいのある仕事ですが、ノン・ヴィンテージだからこそ、という面白さがあります」

マーケット的にいえば、「より手軽に飲めるペリエ ジュエのブラン・ド・ブラン」ということになるのかもしれないが、シュワリスタ的な視点でいえば、エルヴェ・デシャンというスター醸造家を通して、大手メゾンのシャンパーニュ造りへの挑戦、冒険を感じるよい機会。4月日本先行発売という朗報の中で、喜びとともに味わったシュワリスタも多いと思うが、例えば6月、梅雨時の鎌倉、紫陽花をめでた後のビーチサイドの雨上がりのテラス…そんな場面でも楽しむのもおススメだ。

ペリエ ジュエ クラシック 公式サイト
http://jpspecial.perrier-jouet.com/pj_classic/