シャンパーニュを楽しむWEBマガジン [シュワリスタ・ラウンジ]

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INTERVIEW

SHレポート
『マイィ・シャンパーニュ』セミナー & 経営責任者・醸造責任者インタビュー

08_ph_012月26日マイィ・シャンパーニュの代理店であるオエノングループ 合同酒精(株)によるマイィ・シャンパーニュのテイスティング・セミナーが帝国ホテルにて開催されました。

当日は経営責任者であるジャン・フランソワ・プレオ氏と醸造責任者エルヴェ・ダンタン氏、輸出責任者のエルヴェ・ケルラン氏が来日され、マイィ社の生い立ちや環境、そして醸造法から各キュベの特徴などをレクチャーされました。

【マイィ社の概略】
ランスから南へ5kmほど南下したモンターニュ・ド・ランスにマイィ・シャンパーニュ村はあります。このマイィ村はシャンパーニュで325あるクリュ(村)でグラン・クリュ(特級村)を名乗れる17のクリュのひとつです。マイィ社は1929年に設立。このマイィ村に本拠地を置くCM(コーペラティヴ マニピュラン:ブドウ栽培者の協同組合)でピノ・ノワールとシャルドネを栽培しています。70haのブドウ畑で81名の契約農家がぶどう栽培をおこなっており、全てグラン・クリュの畑です。年間生産量は50万本。

Brut Reserve
ブリュット・リザーブ

ピノ・ノワール75%、シャルドネ25%。2つの理由から特別な特徴をもつ。1つは全てグラン・クリュで作られている。もうひとつは約10年分のリザーブワインをブレンドしていることです。NVにこれだけ数多くのヴィンテージ・リザーブワインをブレンドすることはシャンパーニュの中でも類を見ないこと。多くのヴィンテージをブレンドすることによって毎年コンスタントな味わいを保っています。

Extra Brut
エクストラ・ブリュット

ピノ・ノワール75%、シャルドネ25%Brut Reserveと同じ比率ですがBrut Reserveとは違うヴィンテージのリザーブワインを使用しています。熟成度がある非常に良い年を選びブレンドし、カーブで6~7年熟成させています。ノン・ドサージュ。フレッシュで闊達な味わいを長年熟成させることで丸みを持たせています。シャンパーニュ通に受けるシャンパーニュといえるでしょうか、シャンパーニュ本来の味わいを知ることができる1本。ミネラル分が多く寿司などとあわせるのに最適です。

L'Intemporlle 2003
ラントンポレル

フランス語で「永遠の」「時を越えた」の意味。シャルドネ40%、ピノ・ノワールPN60%。マイィの中でもっともシャルドネ比率の高いプレスティージュ・キュヴェ。良い区画、良いヴィンテージを選びキュベの特徴にあるように洗練された区画をブレンド。ランポレルの形容詞は「洗練」。2003年は酷暑の年であったがそれゆえに厳選されたブドウを使用。

Blanc de Noir
ブラン・ド・ノワール

100%ピノ・ノワールを使用したシャンパーニュ。ワインの中に力強さと豊かさを与えるピノ・ノワールの性格を表現したキュヴェ。マイィの石灰質の土壌で北向きの斜面から取れるピノ・ノワールはゆっくり、また均一に熟成し、ミネラル感が豊かで、フレッシュさとエレガントさを兼ね備えています。料理とのマッチングは鳥類やフォアグラなどがベスト

Les Echansons
レ・エシャンソン

皇族などに酌をするものをこう呼んでいました(今のソムリエ)。ラントンポレル同様プレスティージュ・シャンパーニュ。エレガントであり他と一線を画することをコンセプトに作り上げています。ラントンポレルとは違う区画選びを行い、ピノ・ノワールらしいリッチでパワフルな区画をセレクト。ピノ75%、シャルドネ25%。ぶどうの出来が良い年に生産し9年間カーブで熟成。98年は7500本のみの生産。

Rose Brut
ブリュット・ロゼ

ピノ・ノワール90%シャルドネ10%。マセラシオン法によって作られているシャンパーニュ。30年以上の樹齢の樹がある区画のブドウを収穫。醸し時間はその年のブドウの出来により12時間~24時間と変えています。赤い果実や黄色い果実の香りがふんだんに残り、 フルーティーであり、余韻が長く引く。ドサージュは8g/L。ロゼはヴィンテージ表記がありませんが中身は単一ヴィンテージです。現行品は2004年のもの。アペリティフからデザートまで幅広く楽しめます。

SH エクスクルーシヴ インタビュー

08_ph_02「シャンパーニュは私たちの子供のような存在です。」
日本ではNM(ネゴシアン・マニピュラン)は以前から大きく取り上げられており、近年ではRM(レコルタン・マニピュラン)の人気も高まっています。マイィ社はCMという、日本ではあまりメジャーではない生産形態ですので、今回はCMの魅力等について醸造責任者エルヴェ・ダンタン氏(以下 HD)に伺いたいと思います。

08_ph_03全てマイィのグラン・クリュ畑で取れるブドウを使用しているとのことですが、自社で作られているシャンパーニュの中で最もお好きなものはどれですか?

HD: 非常に難しい質問ですね。シャンパーニュは私たちの子供のような存在です。家族の中で父親にどの子が一番好きと聞かれたようなものです。ですから父親のようにどの子も好きと答えるのが一番いいのでしょう。ですが…手がかかる子は可愛いといいます。そのような意味ではBrut Reserveでしょう。

Brut Reserveは非常に難しいシャンパーニュで、毎年同じ味を保たなければなりません。500の区画、10のヴィンテージをどのようにあわせていこうか試行錯誤をしています。去年と今年では同じブレンドではなく、毎年ひとつひとつの区画をテイスティングして、いちから作り上げていますので特に思い入れがあります。


08_ph_04コーペラティブ・マニピュランの場合はRM(レコルタン・マニピュラン)のような個人の生産者とは違いシャンパーニュの方向性を決めたり、ブドウの品質を保つ事が非常に大切だと思います。マイィでは81名の生産者に対してマイィの思想を伝えたり、栽培の指導などはおこなっているのでしょうか

HD: 私たちはブドウ栽培の指導をおこなっています。しかし81名の栽培者達はマイィ社創設の孫やひ孫などにあたります。そのためマイィ社のシャンパーニュを作っていることに誇りを持っている方たちばかりです。特にシャンパーニュ地方は他のフランスのワイン生産地に比べて質が大事だという話を、皆さん、すぐに納得してくれます。

品質を保つために私たちがおこなっていることは、25の区画を栽培指標区画に設定し、ブドウ栽培者と共に熟成度、生育度、糖度、ブドウの状態などを細かくチェックすること。この指標を基にしてそれぞれの小区画や大区画の収穫日時も細かく決めています。収穫日はシャンパーニュ委員会が決定するのですが、この日は「これより以前には収穫してはいけない」という基準日です。マイィ社はその収穫日よりずっと後に収穫し、区画ごとに収穫日をきめています。


08_ph_05マイィ社を代表するプレスティージュ・シャンパーニュでもあるラントンポレルとレ・エシャンソン。あわせてもらいたい料理やシーンなどがありましたらお聞かせください。

HD: ラントンポレルはエレガントで洗練されたシャンパーニュですので、アペリティフだったり、繊細に調理された食事とあわせていただきたいです。たとえばホタテ、オマール海老、ラングスティーヌなど。


それに対してレ・エシャンソンはこれ自体を楽しんでいただきたい。あるいは葉巻をくゆらせながら召し上がっていただくのも良いでしょう。料理との相性では複雑な味わいに出来上がっていますので、軽くポワレしたフォアグラやブレスト産の鶏肉など複雑な味わいの食材との方が合うのではないかと思います。


08_ph_07現在は日本のシャンパーニュの消費量が非常に増えているのですが、日本のシャンパーニュファンに伝えたいことがありますか。

HD: 日本の皆さんがこれほどにシャンパーニュを愛してくださっていることを知って大変うれしく思います。日本は、洗練や繊細さを持っている文化です。そういったことはシャンパーニュの形容詞と一致していますね。ですからシャンパーニュをより楽しんでいただける方々なのかなと思っています。

また日本の市場は魅力的で私たちのシャンパーニュをもっと知っていただきたい。日本は成熟した市場であり、成熟した市場には味がわかる方々が多くいます。そのような方々に愛されるシャンパーニュをつくり続けていきたいと考えています。

CMという日本ではまだ馴染みの浅い形態のメゾンですが、NMの大規模生産者には難しい、収穫したブドウをすぐ圧搾機にかけたり、それぞれの生産農家の指導をしたりなど、地域に密着しているからこそできることを実践しています。収穫後すぐにブドウを搾ることはフレッシュな果汁を得るためには有効な手段。また、個人生産者であるRMには確保することが難しい多くのリザーブワインのストックなども、マイィ社では十分な量をストックしています。このように大手と小規模の苦手とするところを上手くカバーしてシャンパーニュを造られている印象を受けました。また単一の村でのシャンパーニュをリリースしているため、マイィ村のテロワールを感じる事ができました

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