SHレポート
『ポール・デテュンヌ』
秀逸なピノ・ノワールを産出する事で有名なアンボネイ村のシャンパーニュ「ポール・デテュンヌ」。その当主ピエール・デテュンヌ氏の来日に伴いアカデミー・デュ・ヴァン東京校にてピエール氏の造る6種類のシャンパーニュを当主自らのレクチャーするテイスティングセミナーがおこなわれました。
セミナーではピエール氏が自ら作ったプレゼンテーションと音楽から始まり、ポール・デテュンヌの歴史、哲学、シャンパーニュに対する思いを伺うことができ、後半は実際に6種類のシャンパーニュをテイスティングしながら、それぞれのボトルの香りや、味わい方、特徴などが語られました。
以下、テイスティング・ノートです。
Brut
ブリュット
ピノ・ノワール 70%、シャルドネ 30%。安定した品質を保つためにリザーブワインを30~50%ブレンドし、2年間の瓶熟の後出荷。フルーティーでワインらしい香りに腐葉土、ブリオッシュ、スパイスなどのアロマが感じられる。
Brut Blanc de Noires
ブリュット ブラン・ド・ノワール
昔ながらの伝統製法、樫の小樽(205L)で発酵・熟成されるピノ・ノワール 100%のブランドノワール。細やかで持続性のある泡立ちにバニラ、黄色いフルーツの香りが力強い。
Brut Rose
ブリュット・ロゼ
ピノ・ノワール 80%、シャルドネ 20%。リザーブワインを30~50%ブレンド。サーモンピンクの色調に、レッドフルーツのアロマが香る。爽やかさが感じられ春先にあいそう。
Millesime 2000
ミレジム 2000
ピノ・ノワール 40%、シャルドネ 60%。オークの大樽で発酵・熟成されほのかな樽香とともにイチジク、バニラ、バラなどのアロマが複雑に絡み合うコクのある香り。30年以上の古樽を使用することで複雑なアロマに樽香が勝るのを抑えている。
Brut Cuvee Prestige Princess des Thunes
ブリュット・キュベ・プレスティージュ プリンセス・デ・テュンヌ
ピノ・ノワール 50%、シャルドネ 50%を使用し、リザーブワインを30%ブレンド。オーク樽熟成の古酒をブレンドし6年半の瓶熟を経てリリースされる。長期熟成からなる複雑なアロマやシャルドネの比率から来る爽やかな余韻が特徴。
Cuvee A l'Ancienne
キュベ・ア・ランシエンヌ
ピノ・ノワール 50%、シャルドネ 50%を使用し205Lの小樽で熟成・発酵。6年半の熟成の際は一般的な王冠を用いずに、昔ながらのコルク打栓を使用。ハチミツ、ドライフルーツなどのアロマが混じり濃厚な香り。
SH エクスクルーシヴ インタビュー
「全てのシャンパーニュで造り方を変えています。」
当主ピエール・デテュンヌ氏(以下PD)に日本での滞在日程がタイトな中、セミナー前後にシュワリスタ単独インタビューにお時間を割いていただき、お話を伺うことができました。
本日はお忙しいところ、お時間をいただきましてありがとうございます。本日はピエールさんのシャンパーニュを取り巻く環境や、想いについてお話を伺いたいと思います。 と、その前に…事前に38歳とお年を伺っていたのですが、とても若く見えますね。
PD: それはシャンパーニュを飲んでいるからです。シャンパーニュにはアスピリンの成分が少しだけ入っていて、それが血流を良くするので健康に良いとされています。
なるほど、これは日本の女性にも教えてあげたいですね(笑)。さて話を本題にもどして、デテュンヌさんがシャンパーニュを造るにあたって心がけていることを教えてください。
PD: 私がシャンパーニュを造る時のフィロソフィーは大きく2つあります。一つはシャンパーニュを造る全ての活動を通して環境を壊さないことです。常に自然を次の世代に残していくことを考えて仕事をしています。具体的には、例えば4年前からソーラーシステムを採用しシャンパーニュ造りに使われる電力の20%をまかなっています。また7年前より農薬を使用していません。農薬は自分たちの体にも良くないので、現在では有機の肥料のみを使っています。
もう1つは、全てのシャンパーニュで造り方を変えています。もちろん同じアンボネイのブドウだけなのですが、例えば小樽を使ってみたり、大樽で作ったり、長期間瓶熟させたり、アッサンブラージュを変えたり…。同じアンボネイのブドウでもこれだけ違うのだという多様性を表現したいと考えています。
PD: デテュンヌさんの造るシャンパーニュはコアなファンから人気が高いのですが、日本では、数年前にはあまり見かける機会がありませんでした。メゾンの特徴などを教えていただけますか?
デテュンヌさんの造るシャンパーニュはコアなファンから人気が高いのですが、日本では、数年前にはあまり見かける機会がありませんでした。メゾンの特徴などを教えていただけますか?
PD: 私のメゾンは、昔ながらのシャンパーニュに伝わる製法を踏襲しながら、清潔さや設備など現代の良い所を融合させて作っています。樽熟成を行うことや瓶内熟成でコルクを使用するなどはその代表例です。
昔ながらの製法で丁寧に造られているということですね。話は変わって、今、日本のシャンパーニュ輸入量は大幅に増えていています。日本のシャンパーニュ人気について何か感じらることはありますか?
PD: 私は今回で2度目の来日ですが、日本の愛好家やプロの方が私たちレコルタン・マニピュランに対して意識が高いし、シャンパーニュについて非常に勉強されていることに感動しました。私も情熱を持ってシャンパーニュを生産しているので、それを受けいれてくれることを嬉しく思っています。
最後になりましたが、日本のシュワリスタたちにメッセージを。
PD: 日本の市場は私にとって、とても興味深いものです。というのも日本はお寺や記念物などとても重要な歴史がたくさんあります。そのような感性を持った日本人に私が造ったシャンパーニュを飲んでいただけるのはうれしいし、日本の方の感想をもっと聞いてみたいと考えています。
そうですね。文化という面では、日本では天ぷらとシャンパーニュ、お寿司とシャンパーニュなどで楽しんでいますね。
PD: そうですね。日本食はとても魚が豊富ですよね。私もシャンパーニュはとても合うのではないかと思います。また和食はとても洗練されているのでシャンパーニュとあわせてみることは面白いですね。今回の滞在はあまり観光の時間がなかったのですが、いつかまた日本にきて日本の文化に触れてみたいと思っています。