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INTERVIEW

SHレポート
『ペリエ ジュエ ベル エポック ロゼ 2005』 最高醸造責任者 エルヴェ・デシャン氏 インタビュー

SH エクスクルーシブ インタビュー

【ペリエ ジュエ ベル エポック ロゼ 2005概要】
エミール・ガレと現代アーティストの共演、そして新しい感性とベル エポックの洗練の融合。毎回話題を呼ぶリミテッド・エディション。今回のステージは『ペリエ ジュエ ベル エポック 2005』。最高醸造責任者としてこのコラボレーションがもたらすものは?そして05年のロゼ、ベル エポック ロゼそのものの魅力とは? ペリエ ジュエ最高醸造責任者エルヴェ・デシャン氏(以下D)の答えは?

p01これまでも東信(あずま まこと)さんをはじめ、さまざまなアーティストとのコラボレーションを行ってきました。こうしたコラボレーションは、エルヴェさんのワイン造りのどのような影響をもたらしますか?

D: コラボレーションを通して様々なアーティストに出会い、アーティストの皆様がペリエ ジュエを召し上がる機会にお会いしています。そこでペリエ ジュエのイメージを伝えて、彼らの創作の助けになればと考えています。その際に、しばしば感動していただける。それは私にとっても励みになりますね。私としては、ボトルデザインについては、エミール・ガレの世界を崩さずに。その大原則さえあれば、あとはアーティストのみなさんに思い思いにやっていただければと考えています。今回のヴィック・ムニーズさんの作品についていえば、彼のデザインによって、ベル エポック ロゼが持つフローラルなタッチをさらに追及したいと思いましたね。ボトルの前面に描かれた花。その蜜を、またこのハチドリが吸いに来てくれるように…。

素敵な表現ですね。ヴィック・ムニーズさんの印象、そして完成形を見てどのような印象を持ちましたか?

D: 第一印象は、「子供のようなキラキラした目をした方」です。彼にベル エポック ロゼはもちろん、さまざまなキュヴェとベル エポックのスタイルをご案内しましたが、そのさまざまな違いについて彼はとても敏感でした。その感想を言葉にすることは少なかったですが、作品ではそれを雄弁に語っていただいていますね。非常にこまやかな、繊細な仕事だと思いました。アーティストのみなさんはいつも制作時間についてせかされていて(笑)。ベル エポックの熟成期間は急がせることができませんが、彼らとしては大変かとは思います。

p02今回のデザインですが、とても動きがあるという印象を受けました。空のボトルでは感じない、立体感もあります。

D: そうですね。ロゼが入ったボトルによってルーペの効果がありますね。そのカーブによってハチドリが背面から浮き上がって、ボトル前面の花の蜜を吸いにいっている。そんなイメージもあります。

このボトルが映える場所はどこでしょう?

D: 私見ではありますけど、少し仕事に疲れて、その仕事が終わった夕暮れ。ハチドリの羽ばたきがどこからか聞こえてきて、それがロゼ シャンパーニュに降りていく。どこか現実を超えて、幻想的な時間がそこにあるように思います。

p03さて、ここからは05年のワインそのものの話を。05年という年はシャンパーニュにとっては苦労の多い1年だったのではないでしょうか?

D: 基シャルドネはとても繊細で良いものが収穫できています。しかし、ピノ・ノワールに水分が多すぎて熟成が難しかったですね。ベル エポックにとっての良いピノ・ノワールは大変不足しました。十分手に入らなかった。バランスという点では難しかったのは確かですね。ベル エポックにおいては全体の構成のために、シャルドネはもちろん良質なピノ・ノワールも必要です。良質とは、そのピノ・ノワールが主張しすぎてベル エポックの洗練を崩してはいけない。さらに赤ワインが赤ワインとしての香りを放ってはいけない。常に白い花のアロマであったり、まろやかさが必要です。それにふさわしいピノ・ノワールの確保はできました。

他の造り手のロゼは概ね、ワインが持つ果実のパワーと複雑味が魅力です。そこはやはりスタイルが違いますね。

D: そのとおりです。繰り返しになりますが、他のメゾンと大きく違うのは、赤ワインは色味のためであって、強さ、味としては前面には出しません。黒いグラスなどに入れてブラインドで飲んでいただければロゼだとは気がつかないでしょう。

p04それでもロゼの華やかさはちゃんとそこにあります。

D: そこです。05年でいえば、フランボワーズであったり、赤い実、ピンクグレープフルーツ、ジンジャーのアロマもある。そこでも白い花のニュアンスは失いません。

05年ではピンクグレープフルーツ、ジンジャー、それぞれのアロマをとてもチャーミングに感じました。

D: さまざまな香りが結びついて、一つが突出することはないんです。

以前のインタビューのタイミングではロゼは02年でした。濃厚で自分の中にある野性が盛り上がってくる感覚がありました。今回は繊細、しかし、はつらつというイメージを持ちました。ご自身としてはいかがですか?

D: 05は寛容、寛大なシャンパーニュ。すでに大きく花開いています。熟成の時間を経て早くも快活なパワーを持っているでしょう。02はストレート。個性が強く伝わってきます。まだまだこれからも熟成していく存在ですね。05は繊細なタッチがありながら、鴨などの料理に合わせても楽しい。許容する範囲はとても広いシャンパーニュかと思います。ビーフなどでは神戸牛のように旨みのあるもの。口の中で柔らかさと旨みが一体となりますよ。

エルヴェさん自身はこのロゼをどういう場面で飲みたいですか?

D: やはり1日の終わり。さらに夜が進んでデザートの頃。花開いた感覚があるので、いちじくや柿などのフルーツをシンプルに。温かみのあるシャンパーニュですので、ゆったりとした時間に。

最後に。日本だとロゼは秋冬と春。フランスでは夏のイメージもありますね。私は冬場、白とロゼの割合が5:5ぐらいになるぐらい、秋冬のロゼは好きです。

D: 日本の秋の紅葉、春の桜の下で…素敵ですね。その他、料理とのマッチングを考えると、実はオリーブオイルとの相性もいいので夏のテーブルにもあいます。冬でも夏でも、自然が滲みでてくるパワーのある食材がいい。オリーブの場合は青味の強いものは避けて、黒オリーブを。黒味の方が苦味が少なくてまろやかでよいですよ。良い野菜にさっと両面火を入れて、そこにオリーブオイルを添える感じで。夏の野菜のサラダなどもおススメです。それからやはり秋冬なら鳩、子羊。2004年ならば、そこに赤スグリとチョコレートのソースを。素晴らしいですね。

Artist

Vik Muniz
ヴィック・ムニーズ

「美しいアネモネの花園に舞い込んできた一羽のハチドリ」。伝統と洗練のエミール・ガレと現代アーティストの時空を超えた共演。今回は、ブラジル・サンパウロ出身のヴィック・ムニーズが担当。ニューヨークとリオ・デ・ジャネイロを拠点に活動。ヴィジュアル・アーティストとして自身を「ロー・テク・イリュージョニスト」と称し、チョコレートやおもちゃ、ガラクタなどさまざまな素材を使用した作品をカメラに収めてきた。メトロポリタン美術館(NY)、ソフィア王妃博物館(マドリッド)、ヴェネツィア・ビエンナーレでのブラジル・パビリオンなど世界のアートを牽引するギャラリーでの個展を展開している。

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