シャンパーニュを楽しむWEBマガジン [シュワリスタ・ラウンジ]

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INTERVIEW

『ペリエ ジュエ ベル エポック ブラン・ド・ブラン リミテッド エディション 2004 』
最高醸造責任者 エルヴェ・デシャン氏インタビュー

エミール・ガレと現代アーティストの競演、そして新しい感性とベル エポックの洗練の融合。毎回話題を呼ぶ限定ボトルもいよいよ第4弾。今回のコラボレーション・パートナーは第1弾に続き日本人アーティスト。ガラス作家として世界で活躍する三嶋りつ惠氏。今回も、最高醸造責任者としてのコラボレーションの意義、狙い、そして04年のブラン・ド・ブランそのものの魅力を、ペリエ ジュエ最高醸造責任者エルヴェ・デシャン氏(以下D)に聞く。

前回のインタビューでは第3弾のロゼ05についてでしたが、今回、コラボレーションアイテムとして、ブラン・ド・ブラン 2004を選んだ理由をお聞かせください。

D:三嶋さんにペリエ ジュエに訪問いただいた際は、どのアイテムにするのかは決めていませんでした。すべてのキュヴェをテイスティングしていただき、その後の話し合いで、ブラン・ド・ブランに決まりました。コラボレーションなので、彼女の希望と、私たちメゾンとしてのボトルの価値を高めてくれる装飾としての希望、それが一致したのがブラン・ド・ブランでした。 ブラン・ド・ブランが持つ透明性、そしてピュアさを、三嶋さんの表現が照らし出してくださるだろうと感じました。実際、クリスタルホワイトのボトルから差す光が、この中にあるブラン・ド・ブランの輝きをより魅力的に魅せてくれています。

 

完成したボトルを見て、どう感じられましたか? 私はグラン・メゾンとして、今までの伝統からすると、ずいぶんと挑戦したな、と感じました。

Int_1611_ph007D:通常ですとコフレなどではこうした装飾をすることはありますが、ここまでボトル自体に装飾があるとは想像していませんでした。最初にスケッチを見たときに、さて、どんなものになるんだろう!? とみんな考え込んでいました(笑)。技術的にも、これだけのものをボトルで表現することに対しては、試行錯誤されたでしょうね。そして完成したものを見て、ガラスの塊が次第に流れ出てボトルを包み込んでいくようなデザインに驚きました。それは同時に喜びでもありました。アーティストとのコラボレーションを通じて感じる素晴らしさは、皆さんが、アール・ヌーヴォーをコピーするのではなく、そのスピリッツを表現してくれること。そもそもエミール・ガレの花も、たんに花が配置されているのではなく、そこに動きがあります。アール・ヌーヴォーのスタイルやエミール・ガレをコピーするのではなく、その魂の部分をそれぞれのアーティストが継承してくれているのがうれしいですね。そのチャレンジは、ペリエ ジュエの世界観を考えてくれるからこそで、それは日本人アーティストとしてこのコラボレーションの初回に関わってくれた東さんも同様です。

 

お互いにとてもいいチャレンジだったのですね。それではその素晴らしいガラスアートとともに、もうひとつの主役であるブラン・ド・ブラン 2004についてお伺いします。メゾンの中でも稀少な、特別な存在ではありますが、まずは2004という年についてお聞かせください。

D:2004年は、太陽がよく照っていた年といえます。シャルドネの成熟が素晴らしく、アルコールと酸のバランスに優れ、とてもポテンシャルが高いものです。チャーミングさやリッチさというものを表現しやすい年でした。ただベル エポックのブラン・ド・ブランは歴史の中でもこれが5ヴィンテージ目。私自身でも幅広い比較の対象があるわけではありません。その中でも包み込むようなリッチさ、その中での力強さに秀でているでしょう。ぜひ、皆さんに味わっていただき、感想もお伺いしたいですね。

 

特別なキュヴェであるブラン・ド・ブランですが、それに相応しい登場の場面、どんなシーンでエルヴェさんは味わいたいですか?

D:まず食事では、ランチの冒頭が思い浮かびますね。合わせるものは甲殻類、牡蠣や帆立にお寿司。フレッシュさとエレガントさがよく合うと思います。またメインでは、低温でゆっくりと加熱した魚料理。リッチで包容力のある魅力を感じていただけるでしょう。お肉なら家禽類(鶏全般)のフィレ。シャンパーニュのソースで、ワインの味わいも一緒に楽しめると思います。シーンで言えば、浜辺ですね。以前、実際に浜辺でテイスティングしたことがあったのですが、波のうねりの波動、その香り、そこから感じるエネルギー…。それは素晴らしいものでした。

 

ペリエ ジュエで、海、浜辺というキーワードは初めて聞くかもしれません。海辺で波動を感じながら、波音に身を任せ…お一人で飲んでいる感じでしょうか?

Int_1611_ph002D:だめ、だめ、だめ(笑)。一人ではなくやはりベル エポックは分かち合わないと!

 

そうでした(笑)。さて、今後、コラボレーションのプロジェクトは進めていきますか?

D:マイアミでのコンテンポラリー・アートのフェア(デザイン・マイアミ)が12月に開催されます。ペリエ ジュエでは毎年新たなアーティストとコラボレートした作品を発表していますので、これからもどうぞご期待下さい!

 

ペリエ ジュエとコンテンポラリー・アートとの組み合わせを興味深く見ています。アール・ヌーヴォーは見た目としてはある意味クラシックになっていますが、決してその魂の輝きを失わせない方向で、コンテンポラリー・アートとエミール・ガレの世界を融合されているのではないかと。

D:はい。アール・ヌーヴォーは、自然な動きの表現であり、同時に時代のムーヴメントということでもありました。2つの大戦の間で、アーティストが自然からのインスピレーションを得た時期。第一次世界大戦という悲惨な経験から生まれたもの。現在はアートの潮流はいくつもありますが、その中で我々はエミール・ガレという世界で知られた、100年たっても変わらず、古くないアイコンがあって、それがあってこそのコラボレーションだと考えています。

 

50年後、100年後に歴史を振り返って、ペリエ ジュエを通じてアートの流れが見えるというようなこともあるかもしれませんね。最後に、最高醸造責任者として、アーティストとのコラボレーションから得られるものを教えてください。

D:アーティストとの仕事が刺激になることは確かです。私はマテリアルの使い手。物質があって、それを構成していくのが仕事です。一方、アーティストは、まず思想や思考に基づき、世にない新しいものを生み出すことが役割。そういうまったく違う方と仕事をするのは刺激になります。それは自分の年齢も相手の年齢も関係なく、魅力的な関係ですね。

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Int_1611_ph006最高のシャンパーニュを造り出すため「自然」とそこから生まれる「アート」への敬意。エミール・ガレの描いたアネモネもそのアイコン。ペリエ ジュエならではの特別なキュヴェとアーティストとの関係から生まれる世界は、ブラン・ド・ブラン 2004 において、変わらず、しかし、斬新な形として表現された。

透明のボトルにはアネモネが凛と描かれ、これを包むように、三嶋りつ惠氏監修のガラスを模したオブジェが配されている。三嶋氏は京都生まれ。ヴェネチアのガラス工房を皮切りに世界で注目されているガラス作家。透明感とピュアな輝きに、自然と工芸の融合。歴代第4弾のアートと5作目のブラン・ド・ブランが生み出すもの。堪能したい。

公式サイト :
三嶋りつ惠とのコラボレーション
ベル エポック ブラン・ド・ブラン リミテッド エディション 2004