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「UNESCO世界遺産登録10周年記念 ディナー」開催

2025年10月14日、明治記念館 若竹の間にて、シャンパーニュ委員会日本事務局主催「UNESCO世界遺産登録10周年記念ディナー」が開催された。メディア関係者、シャンパーニュ・インフルエンサーなどを対象としたもので、テーマは、「シャンパーニュと和食――二つのユネスコ無形文化遺産 フランスと日本の文化が交わる、一夜限りの饗宴」。

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「シャンパーニュのコトー、メゾン、カーヴ」~シャンパーニュ地方のブドウ畑とワイン文化を象徴する景観は、世界的な文化的価値を認められ、2015年にユネスコ世界遺産に登録された。それから10周年という節目の年。「その歴史的意義を振り返り、未来への継承を考える機会」(シャンパーニュ委員会日本事務局)として開催されたものだが、そこに、和食という、これもユネスコ無形文化遺産の文化を交差させることで、シャンパーニュと日本文化の特別な関係性を体感する会でもあった。

そもそも明治記念館は、1881年(明治14年)に「御会食所」として建設されたものだが、西洋文化と伝統的な日本が交わっていく時代の、宮中外交の主要な舞台だった。1888年には、近代日本の一歩となる、大日本帝国憲法の草案の審議が行われた場所でもあり、建築様式、庭園なども、洋の進取と、和の美を調和させるという狙いがあった。そこで和食とシャンパーニュを合わせていくというのも意義深い。

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アペリティフには「コレ」「ピエール・モンキュイ」といったシュワリスタにはおなじみのシャンパーニュとともに、「ジャン・ジョスラン」「ルネ・ジョリー」が並んだ。驚かされたのは、ジャン・ジョスランの「キュヴェ・ド・ジャン エクストラ・ブリュット」。ピノ・ノワール100%。骨格という言葉よりも、ピュアさと、厳格ではない柔らかなストイックさ。少し純朴さが残りながらもエレガント。コート・デ・バールのRMで、あのローズ・ド・ジャンヌのセドリック(聖地を巡る「小さなこと、幸せなこと」)と親交があるというプロフィールからも期待の大きい造り手だ。若いけれど伝統を守る、地方の和食店の匠とのコラボ…できれば瑞々しいその土地の野菜も…、青く澄んだ空と雪景色の中、もしくは爽やかな夏の青空の下で…なんていう妄想も楽しい。ルネ・ジョリーも同じくコート・デ・バールのRMでピノ・ノワール100%。こちらはノン・ドサ―ジュ。同じ土地でありながらも、こちらはより土を感じさせるややしっかりしたテイスト。味わいの違いは面白かった。

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ディナーには、日本で広く知られるようになったのは最近ながら王道を感じさせる「パルメ」、当サイトの若狭ぐじに関する記事(シュワリスタ・ラウンジ | REPORT | 若狭ぐじ×シャンパーニュ。「格」と「物語」と「直感」のペアリングを堪能)で紹介し、多様な和食との相性が良い「ジャカール」のモザイク・ブリュット、世界で最もディストリビュートされているとも言われ、日本でもおなじみの「ニコラ・フィアット」からは、グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン。さらに、「ドゥ・ヴノージュ」のエッフェル塔をデザインした記念ボトル。パリ万博でお目見えしたエッフェル塔。大阪で開催されていた万博とのある種のコラボなのか。最後は、「デュヴァル・ルロワ」のキュヴェ家紋 KAMONのマグナム。文字通り家紋をモチーフにデザインしたボトルだが、50%以上ものリザーヴワインを使い、72か月以上の熟成を経るというまさに歴史を紡いでいくようなシャンパーニュ。家族の絆を大切にし、日本を愛するこのメゾンらしい(シュワリスタ・ラウンジ | REPORT | 繋ぎ、守り、進むリヴィング・レジェンド ~カロル・デュヴァル=ルロワの物語)シャンパーニュでフィナーレを迎えた。

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ディナー中には、伝統的な日本文化を伝える歌舞伎から迫力のある連獅子が披露された。おそらく若い世代の役者が演じたであろう演目は、伝統という、ともすれば重苦しくも感じる言葉を、軽やかさと力強さ、溌溂さをもって楽しませてくれた。連獅子を見ながらのシャンパーニュという、これも日本とシャンパーニュを結び付けるものだった。

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多くの出席者とフランス大使館関係者、来日中の生産者の交流もあり、華やぎとともに、改めてシャンパーニュと日本の精神的な結びつきを感じさせる祝宴となった。

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画像提供
© Comité Champagne – Photo : Yasu Iijima

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